Blackmagic URSA Cine Immersiveカメラ、予約受付開始
BlackmagicのハイエンドURSA Cine Immersiveカメラ、Apple Vision Pro向けに8K 3D映像撮影を実現
Blackmagic Designは、Apple Vision Proヘッドセット向けのコンテンツ制作を最適化するフラッグシップモデル「URSA Cine Immersiveカメラ」の予約受付を正式に開始しました。出荷は2025年初頭を予定しており、8K 3D映像と180度の視野角、さらに空間オーディオを提供するApple Immersive Videoの制作に新たな選択肢をもたらします。
Apple Vision Proは2023年にWWDCで発表されたApple初のVRヘッドセットであり、価格は3,500ドル。M2チップを搭載し、visionOSで動作するこのデバイスは、没入感のある3D体験を可能にし、空間映像や独自の没入型コンテンツを提供します。しかし、これまでApple Vision Pro用の没入映像コンテンツは主にApple自身が提供しており、サードパーティのクリエイター向けツールの不足が課題となっていました。
Blackmagic URSA Cine Immersiveカメラの特徴
2024年6月に発表されたBlackmagic URSA Cine Immersiveカメラは、プロの映画制作者やコンテンツクリエイター向けに設計されています。このカメラは、解像度8160 x 7200でステレオスコピック3D映像を最大90フレーム/秒で撮影でき、ピクセルレベルの同期と16ストップのダイナミックレンジを実現し、非常に詳細でリアルな映像を提供します。
マグネシウム合金シャーシとカーボンファイバー・ポリカーボネート複合素材を採用し、耐久性と軽量化を両立しています。さらに、2つの5インチタッチスクリーンを搭載し、1つは折りたたみ式HDRディスプレイ、もう1つは補助用タッチスクリーンで、外部モニターの必要性を最小限に抑えます。また、設定を素早く確認できる外部ステータスLCDも装備されています。
接続面では、12G-SDI出力、10G Ethernet、USB-C、XLRオーディオ入力に対応。電源はリア8ピンLemoコネクタ経由で12Vおよび24V電源をサポートし、250W電源アダプタが同梱されています。
価格と業界への影響
Blackmagic URSA Cine Immersiveカメラの価格は29,995ドルと、プロの映像制作市場をターゲットにしています。Apple Immersive Video制作に最適なハイスペックを備えていますが、その価格は小規模スタジオには大きなハードルとなる可能性があります。同クラスの競合製品であるREDのV-RAPTOR 8K VVが24,000〜30,000ドルの範囲に収まる中、URSA Cine Immersiveはやや高価な位置づけです。
CEOのグラント・ペティ氏は、アクションシーンから壮大な風景、繊細なパフォーマンスまで、驚くほど没入感のある映像制作が可能になると強調しました。しかし、その商業的な焦点から、主に大規模な制作を対象とし、一般のクリエイターには敷居が高いものとなりそうです。
Apple Vision Pro向けコンテンツの現状
Apple Vision Pro向けの没入コンテンツは、依然として限定的です。代表的なタイトルとしては、2024年10月にリリースされた第二次世界大戦をテーマにした短編映画『Submerged』や、The Weekndが出演する『Concert for One』(2024年11月リリース)がありますが、新たな没入型プロジェクトの発表は未だに行われていません。
BlackmagicのURSA Cine Immersiveカメラの登場により、制作環境が大きく拡充されることになりますが、サードパーティによるコンテンツ制作がどれほど促進されるかは依然として不透明です。その高価格と専門性の高さから、普及には時間がかかるかもしれません。
映像制作ツールが進化を続ける中、Blackmagicの新製品は、クリエイターに最先端のフォーマットに挑戦する機会を提供します。しかし、Apple Vision Pro向けの新コンテンツがこのカメラの登場によって急増するかどうかは、今後の動向次第と言えるでしょう。