iCloud Private Relayとは?オンラインプライバシーを簡単に守る方法

AppleのiCloud Private Relayは、手軽にブラウジングのプライバシーを保護できる機能だが、VPNの完全な代替とはならない。

AppleのiCloud+サービスは、iOS 15のリリースとともに導入され、ここ最近になって利用者の関心が高まっている。オンラインプライバシーを強化し、一部のコンテンツ制限を回避する機能を備えているが、VPNの完全な代替ではない。それでも、iCloud Private Relayを活用すれば、ブラウジングの履歴を隠し、個人情報を保護することができる。

iCloud Private Relayとは?

iCloud Private Relayは、AppleのiCloud+サブスクリプションに含まれる機能の一つで、ほかにも「メールを非公開」「カスタムメールドメイン」「HomeKitセキュアビデオ」といったプライバシー関連機能が提供されている。

このPrivate Relayは、VPNのように動作し、ユーザーのIPアドレスをマスキングすることで、Safariを利用する際のトラッキングを防ぐ。しかし、VPNのように仮想ロケーションを自由に変更することはできず、IPアドレスのマスキングは地域レベルまたは国レベルに限定される。

この機能は、位置情報の変更よりもプライバシー保護を重視するユーザーにとって有用だ。通常のVPNサービスでは、特定の国や都市を選んでインターネットを利用できるが、iCloud Private Relayでは、特定のウェブサイトがユーザーの正確な位置を特定するのを防ぎながらも、大まかな地域情報は維持される。

料金プラン

iCloud Private Relayは、AppleのiCloud+の一部として提供されており、50GBのクラウドストレージが付属する最も安いプランが月額$0.99から利用できる。より大容量のプランとして、2TBが$9.99、最大12TBまで選択可能で、12TBプランは月額$64.99となっている。

また、これらのプランはファミリー共有が可能なため、家族でプライバシーを重視する場合はコストパフォーマンスの良い選択肢となる。

iCloud Private Relayの有効化方法

iCloud Private Relayを利用するには、Appleデバイスの設定からiCloud+のサブスクリプションを契約する必要がある。プランを購入した後、iCloud設定内でこの機能を有効にできる。

設定オプションには、一般的な地理的な位置情報を維持するか、国とタイムゾーンのみを公開するかを選択する項目が含まれている。

また、通信速度の低下や特定のウェブサイトとの互換性問題が発生した場合、一部のサイトに対してPrivate Relayを無効化することも可能だ。

iCloud Private Relayでインターネット規制を回避できる?

最近では、アメリカ・フロリダ州で成人向けサイトに対する年齢確認義務化が進み、PornHubが同州のユーザー向けにアクセスを制限するなど、地域ごとのインターネット規制が強化されている。このような状況において、iCloud Private Relayは一定の匿名性を提供するが、地域ベースのインターネット制限を完全に回避できるわけではない。

WiFi経由でのブラウジング時には、ウェブサイト側が地域のコンテンツ制限を適用するため、制限地域内のユーザーはPrivate Relayを使ってもアクセス制限を回避できない。一方、モバイルデータ通信を利用している場合、マスキングされたIPアドレスによって、より広い国レベルでのアクセスが可能になることもある。しかし、それでも完全な規制回避は期待できない。

この点で、iCloud Private Relayは、NordVPNのようなVPNサービスとは異なり、ユーザーが自由に接続先の国を選択できるわけではない。特定の地域制限を回避したい場合は、専用のVPNサービスが必要になる。

VPNサービスとの違い

ブラウジングのプライバシーを守り、トラッキングを防ぎたいだけなら、iCloud Private Relayは便利な選択肢だ。しかし、VPNと異なり、ロケーションの変更ができず、Safari以外のブラウザでは利用できないため、万能なソリューションとは言えない。

とはいえ、iCloud+にはiCloudストレージの拡張やメールのプライバシー機能など、Private Relay以外のメリットも含まれている。月額$1未満から利用できることを考えると、VPNほどの機能が必要ないAppleユーザーにとって、手軽にプライバシーを強化できる手段として魅力的な選択肢となるだろう。

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