カナダ政府は、国家安全保障上のリスクと投資法違反を理由に、TikTokのカナダ国内における営業停止を命じました。この決定は、国家安全保障機関との徹底的なレビューと協議を経て、わずか1日前に発表されました。この指令により、TikTokの親会社であるByteDance Ltd.は、トロントとバンクーバーのオフィスを閉鎖することが求められていますが、カナダ国内のユーザーは引き続きプラットフォームへのアクセスが可能です。
フランソワ＝フィリップ・シャンパーニュ（François-Philippe Champagne）イノベーション・科学・産業相は、政府のレビュー過程で収集された証拠や情報機関からの意見に基づいて、この決定が下されたと強調しました。しかし、具体的な安全保障上の脅威の詳細については明らかにされていません。今回の営業停止命令はカナダ国内オフィスを対象としており、個人ユーザーによるプラットフォームの利用には影響しません。
この発表は、2023年9月に完了した政府監査に続くものです。しかし、TikTokのデータプライバシーへの影響に関する懸念はそれ以前から浮上していました。2023年2月には、政府支給のスマートフォンでの利用がすでに禁止され、プライバシーやデータセキュリティへの潜在的なリスクが指摘されていました。
これに対し、TikTokは裁判でこの決定に異議を申し立てる意向を示しており、カナダ国内オフィスの閉鎖と数百人の従業員の解雇は非生産的であると主張しています。特に、ユーザーがアプリを引き続き利用できる状況下では、政府の措置に具体的な利益はないとしています。
カナダの今回の措置は、世界的に見られるTikTokへの懸念の高まりと一致しています。すでにいくつかの国では、政府機器での利用を制限または禁止しています。欧州でも同様の監視が進んでおり、欧州委員会のティエリー・ブルトン（Thierry Breton）は、特に子どもやティーンエイジャーに人気の高いこのプラットフォームが未成年者の保護に責任を持つべきであると指摘しています。
今回の動きは、国家当局が国家安全保障やユーザープライバシーへの脅威と見なすデジタルプラットフォームに対して、規制を強化する姿勢を示すものです。